まず、物理的に独立したオフィスであること。会社や他の士業とオフィスを共用することは許されておらず、仮に一角を間借りする場合、施錠できる別個の入口を持つ区別された空間であることが求められます。オフィス内には鍵のかかる専用書類棚を用意しなければなりません。そして依頼主の秘密を守れる面談スペースも確保する必要があります。さらに、看板。そこが行政書士事務所であることがわかるような看板を、外に掲示することも義務付けられているのです。
伝統的に、士業というのは待受型のビジネス。商業地に構えた路面店、入り口に面して受付カウンターがあり、その先には事務員や助手などスタッフの島。壁には資料やらファイルやらがびっしり並び、いちばん奥には会議室を兼ねた所長室…なんてスタイルが想定されているのでしょう。でも、そんなことが可能なちゃんとしたオフィスを借りるとなると、名古屋あたりでも結構な費用になってしまいます。
こんな問題を解決してくれるのが、レンタルオフィスです。
ぼくが開業のときに使ったのは、業界最大手のリージャスが提供する廉価版サービス、オープンオフィスでした。錦二丁目という名古屋屈指の一等地でありながら月額料金は3万円台と、かなりお手頃。もちろんスペースはネタになるほど狭く、せいぜいネットカフェの個室程度でしかありませんでしたが、ちゃんと施錠は可能で、諸条件を満たします。賃貸マンションなどを借りて自前でオフィス化していくよりはいいと思い、契約したのです。
行政書士として利用したのは名古屋ではぼくが第一号だったようで、登録時にちょっと苦労しています。ビルの所有者と契約相手が異なることから(しかも、当該オフィスの契約主体が、顧客の契約相手である事業展開会社とは別企業という、複雑なスキーム!)、行政書士会が難色を示したのですね。リージャスさんに、ビルのオーナーさんとの間の契約書や、資本関係まで書いてあるグループ企業の組織図なんてものまでコピーしてもらったりと、けっこう大変でした。最近営業さんから聞いた話では、現在ではけっこう行政書士の利用者も多いとのこと。自分の切り開いた道を後から来た人が続々と歩いていると思うと、何だか誇らしいような気がしてきますね。
まあ、他地方の人は、ぼく同様に苦労するかもしれませんが。