契約についてできること
クリエイターの仕事は、多くの場合、依頼から始まります。仕事のオファーがあり、内容や条件について説明があって、何度かのミーティングを重ね、その後、ラフ→ドラフト→完成版という段取りを経て納品に至り、代金が払い込まれる…こんな感じになるでしょうか。こうしたやりとりの中で成立した合意が、法的視点では「契約」となります。
契約は、双方の合意があれば成立しますので、口約束でも有効ですが、内容=双方の権利義務をはっきりさせるため、契約書としてまとめる場合が多いでしょう。ただ実際には、仕事というのは進めてみないとはっきりしないことも多く、これをどのようにして権利義務の関係にまとめるのかは、なかなか困難な作業になります。ネットには山ほどのテンプレートが公開されていますし、またAIを使った契約書作成サービスもあったりしますが、個々の事情にきちんと対応した契約書までは期待できないでしょう。
個人のクリエイターの場合、依頼を受けて取り組むことが多いと思いますが、会社あるいはインディーズとして活動する場合だと、自分の方から依頼することもあるでしょう。クリフェは、どちらの場合にも力になります。自分の側から契約書を送る場合は、その案を作成します。そして先方から提示された契約書案についても、内容について解説し、問題点の指摘などのアドバイスを行い、ご希望事項を対案として作成することもできます。
著作権・出版権の登録
著作権は創作だけで発生しますが、文化庁に登録することで権利関係をはっきりと目に見える形にすることができます。IPビジネスにとって本来重要なものであり、また、ときに必須です。
出版権は、著者との契約によって出版社が持つことのできる権利で、これも登録が重要な意味を持ってきます。かつては出版業界しか関係しない領域でしたが、電子出版やWebの登場により、適用範囲が大きく広がりました。
官公庁への提出書類の作成と申請の代理は、行政書士の主要業務。クリエイターのための行政書士として、これらの仕事を受任します。
小規模な起業のために
コンテンツ産業もすっかり市民権を得たこんにち、会社員として活躍するクリエイターも増えました。昔は「35歳が限界」なんてささやかれていたゲーム業界ですら、無事定年退職を迎えるクリエイターが続々と登場してきています。とはいうものの、クリエイターの世界が「独立・開業」と縁が深いことも事実です。例えば小説やマンガのように、分野によってはほぼ全員が独立事業主なんてこともありますね。
一方で、若い人を中心に、小さなビジネスを手掛けていく例も増えています。これも、趣味の延長的な活動の人もいれば、「ビジネスを大きく育て、いずれはIPOで大金持ち!」なんて夢見ている人もいます。現代は若い人の起業が大きく期待されている時代で、さまざまな形での支援が受けられます。ただ、アイデアの実現にあたっては、法律が壁になってくるかもしれません。せっかく考えたビジネスプランが、法の規制対象になっているかもしれないからです。
独立開業は人生上の大きな決断ですが、同時にビジネス的な判断の対象です。そして、さまざまな法律行為の舞台です。当事務所は、書類を作って終わるのではなく、等身大のコンサルタントとして総合的にアドバイスすることができます。
同人へのサポート
かつては趣味の領域で語られがちだった同人も、こんにちの創作の世界では完全に主要プレイヤーの一つであり、商業=プロの世界とは別に独自のシステムで成立しています。社会全体からも注目されることが増え、すっかり市民権を得ていると言えるでしょう。
ただ、その活動のあり方を法的な視点でみると、危うさがいっぱいです。これは「そういうことに縛られない」という価値観の現れなのでしょう。しかし、商業と同人の活動領域は重なります。そして、法は両者を区別をしません。
これは二次創作だけの問題ではありません。例えば同人サークルでオリジナルのゲームを作った場合を考えてみましょう。メインで取り組む人に加え、何人かのメンバーさらには外部の友人知人も手伝いに入って、1本のゲームができたとします。この場合、作品の権利はどうなるでしょうか。特段の決まりがないと、著作権法の通則が適用されることになり、参加したメンバー全員の共有となります。そのため、販売やライセンスなど、利用にあたっては参加した全員の承諾が必要になります。また、それが利益をもたらした場合の分配も、全員平等です。ゲームデザイナー兼メインプログラマとしてソフトウェアの全体を作った人も、若干のグラフィックスを作っただけの人も、頭割りになってしまうのです。
実際、このような制作にあたって、前もって契約書を交わすというのは考えにくいでしょう。しかし、別段そういう形をとる必要はないのです。例えばサークルに規約がちゃんと作ってあって、制作物の取り扱いについても規定していれば、それを根拠に法的な取り扱いができます。楽しい活動に水を差さず、しかし誰もが納得いくような形での法的スキームを、当事務所であれば追求していくことができます。