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「勉強中」は恥じゃない!

 学生ならともかく、社会人が「現在勉強中です」と言えば、“知らない”の婉曲表現でしょう。勉強とは知的側面での準備であり、それが終了してから実務にとりかかる…というイメージがあります。その意味で専門職なんて、あたかもとっくに勉強が終わっている―自分は何でも知っている―ような顔をして仕事していくべきものかもしれません。
 とはいえ、実際には専門職こそが、勉強の連続なのだと言えるでしょう。仕事を掘り下げていけば行くほど、知らないことやわからないことと出会うからです。
 一つ前の記事に書いているように、相続関係のセミナーを開催しました。そして、フォロー資料としての記事を書き進めています。3部構成のうち2つをアップ、3つ目に現在取り掛かっているところです。そしてこれを通じて、勉強に関する先述のようなことを、改めて痛感したのです。
 本をみっちりと読んでいると、だいたいそのテーマについて理解したような気になってしまいます。しかし、本にはそこに書かれたシチュエーションしか出てきませんが、現実の相手は違います。想像もしてなかった角度からの質問をぶつけられたりして、自分の無知を知るわけです。法律の本というものは、まず学生向けの基本書があり、法律家向けの体系書があり、さらにその上に学者を対象にした専門書があります。こういったところまで読み通すと、「俺、何でも知ってるもんね!」なんて気持ちになってしまうのですが、実は本人も気づいていないこんな前提が隠れているのですね…「俺の知ってる範囲のことならさ」。
 ともあれ、こうした不意打ちは、おそらく実務ではもっと頻発することなのでしょう。ここで気になるのが、顧客の視線です。ここで適当な言葉を選んでごまかすというのは、どんな態度をとったにせよ「よくわかんねーけど、たぶんこうじゃね?」と言っているのと同じなわけです。

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