法学部なら誰もが知っているシリーズ刊行物に「判例百選」があります。主要な判例を百ほど集め、学者や法律家が解説するという体裁の本で、法分野ごとに(主要法は2・3冊構成)刊行されています。ここに載っている判例は基本とされ、「近頃の学生は“百選”に載ってるような判例も知らない、けしからん!」なんて教授から言われたりするくらいですから、一応知っていなければならない先例ということができるでしょう。
とはいうものの、実際手にしてみるとなかなか大変なのです。どの判例も見開き2ページにまとめている関係で、文字は細かく行間はキツキツ、文章もガチガチです。「この夏は百選を読破するぞ!」と意気込みながら始めたものの、結局“十選”ぐらいで終わってしまった……なんて経験をした人も多いのではないでしょうか。実際のところ、あらゆる法分野において重要判例が100個ずつなんてはずもなく、ここにこだわる必然性はありません。とはいえ、いわば日本百名山みたいなもので、どうにも無視しづらいところがあります。
そこでガイドになるような要約版を作ってみようと思いました。事件の概要と争点そして判決をまとめた、いわば判例百選のガイドブックです。ただ、要約するだけでは味気ないので(翻案権侵害にもなりそうですしね)、完全に自分流の解説を付けてみます。
週一ペースで書いていってもたっぷり2年はかかる計算ですが、まあぼちぼちやっていきましょう。
☆百選では「X」「Y」としていても、以下の例に拠り、実名で表記することがあります。
◎企業などの法人
◎政治家や財界人などの公人
◎作家や芸能人などの著名人
☆最新版だけではなく、興味深い判例については過去の版にのみ掲載されたものも取り上げます。
☆公開は順不同です。
☆基本的に学習用です。実務での利用は想定していません。