ねとらぼ:Kikkaさんによる記事(2020年3月1日)
百均というのはやはり便利なもので、私もけっこう使います。特に意識高いデザインというのは値段も高いわけで、気の利いた事務用品を見ると、「これダイソーでも売ってくれないかな」なんて思ったりします。実際、私のデスクには、斜めに立てるペンスタンド(by Seria)が鎮座してますが、最初の物欲は無印良品で刺激されております。
ただ、今回のケースは「機能が同じ」レベルではなく、型取りして複製した完全なコピー品です。著作権的には完全なアウトなのですが、それでも実際の解決までには時間がかかるわけですね。
当事務所的に注目するのは、この案件において、著作権登録が大きな役割を果たしたことです。記事によると、相手方の弁理士は当初「フィギュアに著作物性が認められるかは疑問」などと主張した上で自分たちに有利な条件での和解を提案して来たため、対抗措置として文化庁への著作権登録を行ったとのこと。
決して活発とは言えない著作権登録制度ですが、こういう事例をきっかけに、広まってくれればいいと思います(その折は、是非とも当事務所をよろしく!)。
なお、相手方弁理士の主張ですが、次のような法的先例を念頭においてのことでしょう。
1.大量生産される工業製品の著作物性は否定される場合が多い
2.自然の動物を再現したフィギュアは著作物に該当しない
1は、工業デザインの著作性に関する原則です。美術工芸品の場合を除き、工業製品は著作物ではないのです。ただ、この射程に入るのは大量生産された結果としての製品についてであって、その原型が著作物に該当すれば、原型に対する著作権の侵害になります。
2は、チョコエッグ事件で示された判断です。ただこの裁判でも、創作キャラのフィギュアについては著作権侵害を認めています。
ということで、正直かなり苦しい抗弁で、交渉を有利にするためのブラフとして言っただけなのでしょうね。弁護士などの肩書きにはついびびってしまいがちですが、実態はこんなもの。「相手方の代理人が言うことは、真に受けちゃだめ」の実例といえるでしょう。
2020年3月公開
]]>