世に著作権法の本は多数存在します。にも関わらず、なぜ作ろうと思ったのかを3つにまとめてみます。
まず、求める「ちょうど良さ」が、なかなかないこと。
専門学校生というのはこれからプロになろうとする人ですから、相応に高いレベルでの理解が必要です。とはいえ、世にある「わかりやすい」本は、内容も割り引かれがち。そして、基本的スタンスの違いがあります。啓蒙目的の本は「これはやっちゃだめ」でまとめられる傾向があるのです。でもクリエイターに大事なのは「ここまでならだいじょうぶ」の見極めの方です。このように、レベルとスタンスの両面で、ふさわしい本というのが、どうにも見つからないのです。
次に、すぐに古くなってしまうこと。
著作権法は、改正が激しく入ります。今、教科書に使っているのは「ビジネス著作権検定 公式テキスト[初級・上級]第2版」(インプレス)という、検定試験を前提にした(この特徴は、専門学校的には親和します)本なのですが、2019年という最近の刊行ながら、現在までに既に2回の法改正があり、条文番号とかが合わなくなっているのです。
そして、これは個人的な動機とも言えるのですが、「やってみたかった」ということ。
既存教科書への不満みたいなものはずっと抱えていました。
何かを理解するには、階層的な理解が必要です。まず軽く全体像を掴み、次にポイント的にきちんと理解し、そのポイントを増やしてから間を埋め、全体について知っていく―こんな、陸軍の浸透戦術のような学び方がいいですね。これを、一冊の本でサポートすべきではないかと考えていました。
Webとして作成することは、早い段階で決めていました。
教科書というものを「学ぶシステム」として考えると、3つめの問題は特に重要です。このようなスケーラブルな教科書を一冊にまとめると、たぶん数百ページになってしまうでしょう。そんな分厚い本は、読み手にとって負担ですし、そもそも出版自体が困難です。
でもWebであれば、これも解決。持ち運ばなくていいのは大きなメリットですし、何より「一見とっつきやすそうで、ざっと流し読み。気になったとこ、後でじっくり読もうっと!」なんて使い方もサポートできるわけですから。
また、2番目の問題にも(継続的努力は欠かせないのですけど)対応できますね。ぼく自身は紙の本に愛着のある人間ですが、やはりこれらのメリットは捨てがたいものがあります。「マネタイズが難しい」という欠点はあるのですが、そこは本業への集客とバーターということで。
実は今回の教科書は、総合的な発信計画の一環です。インスタやYoutubeにも絡めてみたいと思っているのです。というわけで、今回の教科書作成も、まだまだ「始まりの終わり」…いや、公開できてないうちはそんなことも言えないですね。頑張って、夏の間に完成させたいと思います。
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