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第3部 判例ガイド
著作権の制限

みんなの著作権 第3部 判例ガイド 著作権の制限に関する判例

ダリ事件

 1997.9/5 東京地裁H3(ヮ)3682号
 画家ダリの著作権を管理する法人が、展覧会で販売された図録について著作権侵害を主張、主催者側に販売差止などを求めた事件。被告は、47条で複製が認められている「解説・紹介を目的とする小冊子」であることを主張した。
 裁判所は、「実質的に画集であり、著作者の権利を侵害している」として、原告の主張を認めた。

「脱ゴーマニズム宣言」事件

 2000.2/24 東京高裁H11(ネ)4783号
      (原審・東京地裁H9(ヮ)27869号)
 漫画家小林よしのりが、自著『ゴーマニズム宣言』への批判書として出版された『脱ゴーマニズム宣言』について、漫画の絵が無断で掲載されていることについて複製権の侵害を主張し、著者である評論家の上杉聡に対し、出版の差止などを訴えた事件。原告は、被告の主張は原告の意見に対する反論なので絵を引用する必要はないと主張、また絵の引用を避ける業界慣行の存在も主張した。
 一審は、原告の主張した慣行の存在を否定した上で、引用部分は全て必要な範囲内として、複製権侵害の主張を退けた。二審では、作品のコマの順番を入れ替えた1箇所について著作者人格権の侵害を認め、他については合法とする判決となった。被告が上告したが、最高裁で棄却され、この判決が確定した。

バス車体のペイント画事件

 2001.7/25 東京地裁H13(ワ)56号
 画家ロコサトシが、自身がバスに描いた絵を出版物に無断で使用したとして、版元の永岡書店を訴えた事例。
 原告は、横浜市在住のウォールペイントアーティストで、イベントへの協賛として、市バスに絵を描いていた。一方、被告は、子供向け絵本である「まちをはしる はたらくじどうしゃ」を刊行するにあたり、当該バスが大きく写っている写真を表紙に用いていた。
 著作物の無断使用を主張した原告に対し、被告はまずこのバスが美術の著作物であることを否定、そして予備的主張として「仮にそうだとしても著作権法46条の『屋外に恒常的に設置されている美術品』に相当し自由使用が認められる」旨を主張した。
 裁判所は、美術の著作物であることは認めたものの、46条の要件「屋外」「恒常設置」に該当するとし、原告の訴えを退けた。

 
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