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第3部 判例ガイド
出版権/パブリシティ権

みんなの著作権 第3部 判例ガイド 出版権、パブリシティ権

「太陽風交点」事件

 1986.2/26 東京高裁S59(ネ)814号
      (原審・東京地裁S56(ワ)4210号)
 早川書房が、SF短編集『太陽風交点』の文庫版を出版した徳間書店と著者の堀晃に対し、出版権の侵害であるとして出版差止などを訴えた事件。
 同作品はハードカバー版として原告から出版されていたものである。原告は、そのとき口頭でなされた契約が商習慣上「出版権設定契約」であり、また最初の出版から3年間は他社から出版できないことは慣習法として守られるべき業界慣習であると主張、出版権の存在とその侵害を訴えた。
 一審では、出版権設定契約の成立も慣習法の存在も否定し、原告の全面敗訴。二審でもこの判決が支持された。

「ギャロップレーサー」事件

 2004.2/13 最高裁H13(受)866号、877号
      (原審・名古屋高裁H12(ネ)144号、467号)
 競走馬を育成・保有する厩舎や馬主らが、ゲーム「ギャロップレーサー」における競争馬の実名使用に対して、パブリシティ権の侵害であるとして、製作したテクモを訴えた事件。一審(名古屋地裁H12.1)・二審では、パブリシティ権の成立を認め、損害賠償を命じる判決が出された。一方、別途行われていた「ダービースタリオン」を巡る訴訟では「パブリシティ権は人格権に由来するものであり、法的に『物』である競走馬には認められない」として全面敗訴(東京地裁H13.8、東京高裁H14.9)と、判断が分かれていた。
 最高裁では東京判決の論理を支持した上で、「実定法の根拠なしでは排他的独占使用権まで認められるものではない」として、名古屋高裁判決を破棄、原告の全面敗訴となる判決を下した。

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