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第3部 判例ガイド
ソフトウェアの著作物

みんなの著作権 第3部 判例ガイド ソフトウェアの著作物に関する判例

サイボウズvsアイオフィス事件

 2002.9/5 東京地裁 平成13(ワ)16440号
 「サイボウズOffice」(以下CO)を製作・販売するサイボウズ株式会社が、競合製品である「i office」(以下IO)について、COを模倣して作られたものだとして、同ソフトの製作販売元である株式会社ネオジャパンに対し、販売差止と損害賠償その他を求めた。
 原告は、IOの表示画面のデザインや操作のための選択・配列が、COのそれが持つ特徴と基本的に同じであり、その他のソフトウェアとしての特徴と併せて「IOはCOの複製ないし翻案である」と主張。さらに、HTMLで書かれたソースコード部分については、コピー&ペーストの形跡が見られることなどを挙げ、不正競争や一般不法行為の成立を予備的に主張した。これに対し被告は「類似点の多くは機能的工夫だから似ても当然」「原告が主張する特徴はそもそも著作権の対象外」などと反論、争った。
 裁判所は、画面の類似の著作権侵害について「そう言えるのはデッドコピーに相当するようなものに限られる」としてこれを否定。また原告が主張する特徴も「アイデアに過ぎず、著作権の対象ではない」とし、その他も含めて両者の共通性はありふれたものであるとして、著作権に関する原告の主張を否定。不正競争や一般不法行為も認めず、訴えを退けた。

プレステ開発ソフト事件

 2004.2/10 東京地裁 平成15(ワ)6670号
 フリーランスのプログラマであるX氏が、既に納品し使用されているゲーム機用の開発ソフトについて、著作権が自己にあることを前提に、発注主であったソニー・コンピュータエンターテインメント(SCE)に対し、ゲーム機の売上を元に計算した高額の権利を主張、その一部としての3.000万円の損害賠償請求を行った。
 被告SCEは「業務委託契約によって、雇用でない場合でも職務著作が成立する」旨を主張。また、それが否定されるにしても、契約書の中にある著作権帰属条項にもとづいて、著作権は全て譲渡されていることも併せて主張し、争った。なおこの契約書について、原告は「話し合って決めた報酬条件と異なる内容であることを、双方承知の上で作成されたもの」として、通謀虚偽表示(民法)による無効を主張している。
 裁判所は、報酬額や権利関係に関する被告側の扱いが、委託先全てに一律で用いられているものであることを認定。また原告が、制作期間中に特段の要求をすることなく契約書通りの報酬額を受け取っていたなどの事実を認定し、これにより「原告は契約書に書かれた内容に黙示的に合意していた」として、契約書を有効と認め、著作権は被告側にあるとして、職務著作の成立については判断することなく、原告の訴えを退けた。

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